編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2017年11月現在,1130報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Dauriz M, Targher G, Laroche C, Temporelli PL, Ferrari R, Anker S, Coats A, Filippatos G, Crespo-Leiro M, Mebazaa A, Piepoli MF, Maggioni AP, Tavazzi L; ESC-HFA Heart Failure Long-Term Registry. Association Between Diabetes and 1-Year Adverse Clinical Outcomes in a Multinational Cohort of Ambulatory Patients With Chronic Heart Failure: Results From the ESC-HFA Heart Failure Long-Term Registry. Diabetes Care. 2017; 40: 671-678. [PubMed]

フラミンガム研究をはじめとするいくつかの疫学研究より,糖尿病患者,とくに女性では心不全発症リスクが高まることが知られている。一方,本研究あるいは同様の心不全患者を対象とした観察研究から,心不全患者における糖尿病の合併は他の危険因子と独立して生命予後,心血管関連生命予後,心不全予後を悪くすることが明らかにされた。
本研究の重要な点は,心不全患者において糖尿病が独立した予後規定因子であることを示したのみならず,HbA1c値と関連することを示した点,つまり,血糖コントロールによって予後を改善できる可能性を示している点である。介入研究によりその証明が必要ではあるが,糖尿病診療が心不全患者の予後を改善しうる可能性があること,そしてそれを明らかにする必要があることを示した研究といえる。【西尾善彦

●目的 慢性心不全(CHF)患者において,糖尿病と1年間の有害アウトカムの関連を検討した。
●デザイン 観察研究,多施設(欧州と地中海諸国の21ヵ国,211施設)。
●試験期間 登録期間は2011年5月~2013年4月。追跡期間は1年。
●対象患者 9,428例:外来CHF患者。糖尿病例3,440例,非糖尿病例5,988例。
平均年齢67.1(糖尿病例)/63.7歳(非糖尿病例),男性74.7/69.7%,BMI 29.5/27.3kg/m2,収縮期血圧126.5/123.2mmHg,拡張期血圧73.7/73.9mmhg,心拍数74.3/72.7bpm,HbA1c 7.3/5.7%,高血圧75.5/58.1%,推算糸球体濾過量58.3/66.3 mL/分/1.73m2,左室駆出率37.1/37.9%,NYHA分類 I 13.5/19.4%,II 57.6/56.1%,III 26.3/22.8%,IV 2.6/1.7%。
除外基準:≦18歳。
●方法 Cox回帰分析を用いて,糖尿病状況と1年間の全死亡リスク,心血管疾患(CVD)死リスク,心不全(HF)悪化による入院リスクの関連を評価した。
●結果 1年間の全死亡は757例,CVD死は394例,HF悪化による入院は1,030例であった。
年齢,性別,BMI,喫煙,収縮期血圧,推算糸球体濾過量,ヘモグロビン,HFの原因,左室駆出率,高血圧,スタチン使用,脳卒中または慢性閉塞性肺疾患の既往を調整後,糖尿病患者(3440例,36.5%)は非糖尿病患者に比し,1年間の累積全死亡率(9.4 vs. 7.2%;調整ハザード比[HR]1.28,95%CI 1.07-1.54),累積CVD死率(4.8 vs. 3.8%;調整HR 1.28,95%CI 0.99-1.66),累積HF入院率(13.8 vs. 9.3%;調整HR 1.37,95%CI 1.17-1.60)が有意に高かった。
ベースラインのHbA1c評価が得られた2,567例において,HbA1c上昇と1年間の生存アウトカムには有意な独立した関連が認められた。
●結論 外来CHF患者において,糖尿病は複数のリスク因子とは独立して1年間の有害臨床アウトカムリスクを著明に上昇させた。