編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Kosiborod M, Cavender MA, Fu AZ, Wilding JP, Khunti K, Holl RW, Norhammar A, Birkeland KI, Jørgensen ME, Thuresson M, et al.; CVD-REAL Investigators and Study Group*: Lower Risk of Heart Failure and Death in Patients Initiated on Sodium-Glucose Cotransporter-2 Inhibitors Versus Other Glucose-Lowering Drugs: The CVD-REAL Study (Comparative Effectiveness of Cardiovascular Outcomes in New Users of Sodium-Glucose Cotransporter-2 Inhibitors). Circulation. 2017; 136: 249-259. [PubMed]

前向き介入試験であるEMPA-REG OUTCOMEおよびCANVASによって,SGLT2阻害薬の心血管イベント抑制効果が明らかにされた。いずれの試験においても,複合エンドポイント(3point MACE)において有意な抑制効果が認められたが,とくに心不全および心血管死の予防効果が顕著であった。
本研究より,それらの結果が複数の国における実臨床の世界で再現され,2型糖尿病患者の治療におけるSGLT2阻害薬の有用性が,きわめて明確に示されたと考えられる。【西尾善彦

●目的 リアルワールドでの2型糖尿病の診療場面において,SGLT2阻害薬と他の血糖降下薬(oGLD)の心不全による入院,死亡,および両者の複合エンドポイントを比較した。
一次アウトカムは心不全による入院(HHF)。二次アウトカムは全死亡,HHF+全死亡の複合アウトカム。
●デザイン レトロスペクティブ,観察研究。
●試験期間 2012年11月(英国)~2013年6月(スウェーデン)から2015年9月(米国)~2016年11月(スウェーデン)。
●対象患者 新たにSGLT2阻害薬またはoGLDを開始した2型糖尿病患者1,392,254例。平均年齢SGLT2阻害薬群56.9/oGLD群57.0歳,女性それぞれ44.3/44.5%,心血管疾患13.0/13.1%(心不全はいずれも3.1%),細小血管障害27.3/27.3%,慢性腎障害2.5/2.7%,フレイル7.8/8.2%,降圧薬80.0/80.0%,スタチン67.3/67.4%。
採用基準:18歳以上,糖尿病罹病期間1年以上,新規または追加療法として固定容量のSGLT2阻害薬(canagliflozin,dapagliflozin,empagliflozin)または血糖降下薬(経口薬および注射薬)を処方された者,前年に同じクラスの薬剤を処方されていない者。
除外基準:1型糖尿病,妊娠糖尿病。
●方法 6ヵ国(米国,ドイツ,スウェーデン,ノルウェー,デンマーク,英国)の健康記録(health records)のデータを用いた。
医療機関から保険会社への医療費申請(medical claims),プライマリーケアまたは病院,および各国の登録研究よりデータを入手。プロペンシティスコアによりSGLT2阻害薬と他の血糖降下薬の治療群をマッチングさせ,HHF,死亡,および両者の複合について,国ごとにハザード比(HR)を算出し,効果量(effect size)を評価した(ドイツの死亡データは入手できず)。
●結果 プロペンシティスコアによるマッチング後の対象患者は,SGLT2阻害薬群,oGLD群それぞれ154,528例ずつであった。SGLT2阻害薬の内訳は,canagliflozin 53%,dapagliflozin 42%,empagliflozin 5%であった。
追跡期間中のHHFは961件/190,164人・年(0.51件/100人・年)であり,SGLT2阻害薬のほうがoGLDよりも低リスクであった(統合HR 0.61,95%CI 0.51-0.73,p<0.001)。各群の平均追跡期間はSGLT2阻害薬群239日,oGLD群211日であった。
全死亡は1,334件/153,990人・年(0.87件/100人・年)であり,oGLDに比べSGLT2阻害薬のほうがリスクが低かった(統合HR 0.49,95%CI 0.41-0.57,p<0.001)。各群の追跡期間はSGLT2阻害薬群271日,oGLD群251日であった。
HHF+全死亡の複合は1,983件/143,342人・年(1.38件/100人・年)であり,oGLDよりもSGLT2阻害薬のほうが低リスクであった(統合HR 0.54,95%CI 0.48-0.60,p<0.001)。各群の追跡期間はSGLT2阻害薬253日,oGLD群233日であった。
いずれのエンドポイントにおいてもSGLT2阻害薬のほうが望ましいHRであり,国による有意な特異性はなかった(p=0.17)。
●結論 SGLT2阻害薬は他の血糖降下薬に比べ,HHFおよび全死亡の低リスクと関連していた。このことは,無作為化試験で認められたempagliflozinのベネフィットは薬剤クラスの効果であり,実臨床の2型糖尿病にも当てはまることを示唆している。