編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2017年11月現在,1127報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Gubitosi-Klug RA, Braffett BH, White NH, Sherwin RS, Service FJ, Lachin JM, Tamborlane WV; Diabetes Control and Complications Trial (DCCT)/Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications (EDIC) Research Group. Risk of Severe Hypoglycemia in Type 1 Diabetes Over 30 Years of Follow-up in the DCCT/EDIC Study. Diabetes Care. 2017; 40: 1010-6. [PubMed]

1型糖尿病を対象とした大規模臨床研究のマイルストーンであるDCCT/EDICにおいて,重症低血糖のリスク因子について検討したサブ解析である。
その結果,DCCT期間中は,強化血糖コントロール群で従来療法群よりも重症低血糖を起こすリスクが3倍高かったが,観察研究のEDIC期間に入るとその差は消失したことが明確に示された。また,DCCT期間中に重症低血糖を起こしたこと,DCCT期間中の治療法にかかわらずHbA1cが低いことも,EDIC期間中の重症低血糖のリスクであることが示されている。
HbA1cを強力に下げようとすることが,重症低血糖のリスクになることが明らかにされたが,それに加えて,低血糖を起こしやすいサブグループがあることも示されたことになり,日常臨床において重要な知見を示したサブ解析である。【西村理明

●目的 1型糖尿病患者において,重症低血糖(SH)に対する強化血糖コントロール療法のリスク因子を検討した。
●デザイン コホート。
●試験期間 DCCTの登録期間は1983~1989年。DCCTの追跡期間は平均6.5年。EDICの追跡期間は20年。
●対象患者 DCCTに参加した13~39歳の1型糖尿病患者1,441例。
●方法 DCCTでは,対象患者を強化血糖コントロール療法群,従来療法群にランダム化。
DCCT終了時の生存例を対象に追跡を行う観察研究であるEDICを行い,細小血管障害および大血管障害に対するDCCT割り付け治療の長期的効果を評価し,SHのリスク因子を探索した。
SHの定義は,他者の介助を要する低血糖症状(混乱,昏睡,発作)かつ血糖<50mg/dLまたは経口糖質・グルカゴン・静注グルコース後の速やかな回復とし,DCCTでは年4回,EDICでは年1回評価した。
●結果 DCCT期間中のSH率は強化血糖コントロール群で従来療法群の約3倍であったが,EDIC期間中に強化血糖コントロール群ではSH率が低下,従来療法群ではSH率が上昇し,両群のSH率の有意差は消失した(36.6 vs. 40.8エピソード/100人-年,相対リスク1.12,95%CI 0.91-1.37)。
DCCT期間中のSH歴はEDIC期間中のSHの主要な予測因子であった。
DCCT登録時に青年(13~17歳)であった患者ではEDIC期間中のSHリスクが上昇し,持続皮下インスリン注入療法を用いた患者はEDIC期間中のSHリスクが低下した。DCCT期間中の割り付け治療にかかわらず,HbA1c低下に伴ってSH率は上昇した。
●結論 糖尿病罹病期間が長くなり,HbA1cレベルが同等となるにつれて,強化血糖コントロール療法と従来療法のSHリスクは経時的に平衡化した。