編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Tsujimoto T, Sugiyama T, Kajio H. Effects of β-blockers on all-cause mortality in patients with type 2 diabetes and coronary heart disease. Diabetes Obes Metab. 2017; 19: 800-8. [PubMed]

冠動脈疾患(CHD)を有する2型糖尿病患者におけるβ遮断薬の有効性については,β遮断薬が低血糖症状をマスクしたり遷延化させるのではないかとの懸念もあり,今なお議論がある。本検討はBARI 2Dの事後解析であるが,CHDを有する2型糖尿病患者において,心筋梗塞/左室駆出率の低下した心不全(MI/HFrEF)既往を有する場合はβ遮断薬により全死亡リスクが低下したが,MI/HFrEF既往を有さない場合はリスク低下を認めなかった。MI/HFrEF既往を有する場合でも,早期血行再建術+強化薬物療法群では有意なリスク低下を認めず,強化薬物療法群でのみβ遮断薬の有効性が認められた。重篤な低血糖はβ遮断薬の有無で差はなかった。
さらなる検討が必要ではあるが,β遮断薬を投与すべきCHDを有する2型糖尿病患者の臨床的特徴がかなり明らかにされたといえる。【片山茂裕

●目的 冠動脈心疾患(CHD)を有する2型糖尿病患者において,β遮断薬の有効性を検討した。
主要評価項目は全死亡。副次評価項目は主要心血管イベント(全死亡+心筋梗塞[MI]+脳卒中)。
●デザイン BARI 2Dは無作為,多施設(米国,カナダ,ブラジル,メキシコ,チェコ共和国,オーストリアの49施設)。
●試験期間 登録期間は2001年1月1日~2005年3月31日。追跡期間は,MI/左室駆出率の低下した心不全(HFrEF)既往を有する患者4.6±1.3年,MI/HFrEF既往を有さない患者4.8±1.2年。
●対象患者 BARI 2Dに参加した≧25歳の安定CHDを有する2型糖尿病患者2,244例。
除外基準:迅速な冠動脈血行再建術の必要性,12ヵ月以内の血行再建術施行歴,左主冠動脈の狭窄≧50%,血清クレアチニン>2.0mg/dL,HbA1c>13.0%,NYHA機能クラスIIIまたはIVのうっ血性心不全,肝疾患。
●方法 BARI 2Dでは,早期血行再建術+強化薬物療法群または薬物療法単独群にランダム化した。
本解析では対象患者をMI/HFrEF既往を有するβ遮断薬非使用患者148例/使用患者619例,MI/HFrEF既往を有さないβ遮断薬非使用患者458例/使用患者1,019例に分類。
Cox比例ハザードモデルを用いて,β遮断薬非使用患者に対する使用患者の全死亡および心血管イベントのハザード比(HR)を算出した。
●結果 β遮断薬は,MI/HFrEF既往を有する患者では全死亡リスクを低下させたが(調整HR 0.60,95%CI 0.37-0.98,p=0.04),MI/HFrEF既往を有さない患者では有意なリスク低下を認めなかった(調整HR 0.91,95%CI 0.76-1.32,p=0.64)。
MI/HFrEF既往を有する患者において,β遮断薬使用により強化薬物療法単独群の全死亡リスクが有意に低下したが(調整HR 0.45,95%CI 0.23-0.88,p=0.02),早期血行再建術+強化薬物療法群では有意なリスク低下を認めなかった(調整HR 0.81,95%CI 0.40-1.65,p=0.57)。
MI/HFrEF既往を有さない患者では,β遮断薬使用による主要心血管イベントリスクの有意な低下を認めなかった。
●結論 CHDを有する2型糖尿病患者において,MI/HFrEF既往を有する場合はβ遮断薬により全死亡リスクが低下したが,MI/HFrEF既往を有さない場合はリスク低下を認めなかった。