編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Gokhale M, Buse JB, Jonsson Funk M, Lund J, Pate V, Simpson RJ, Stürmer T. No increased risk of cardiovascular events in older adults initiating dipeptidyl peptidase-4 inhibitors vs therapeutic alternatives. Diabetes Obes Metab. 2017; 19: 970-8. [PubMed]

高齢者に対して,DPP-4阻害薬がSU薬やチアゾリジン薬と比較して心血管イベントリスクを増大させていないことを,実臨床の世界で示した研究である。この結果からは,DPP-4阻害薬のSU薬に対する優位性が示唆されるが,死亡原因が特定されていない,中央値で約1年という短期間での観察,血糖コントロールに対する効果が明らかにされていない,などの問題点が指摘できる。
筆者らもこれらの点を踏まえて,DPP-4阻害薬が従来の治療薬と比較して高齢者の心血管イベントリスクを増加させていないという控えめな結論としているようである。【西尾善彦

●目的 スルホニル尿素(SU)薬およびチアゾリジン薬(TZD)と比較した場合の,DPP-4阻害薬の高齢者に対する心血管(CV)リスクを検討した。
アウトカムは非致死性心筋梗塞(MI),脳卒中,心不全(HF)による入院,全死亡。複合アウトカムは非致死性MI+脳卒中+全死亡。
●デザイン コホート研究。
●試験期間 登録期間は2007年1月1日~2013年12月31日。治療期間は1年(中央値)。
●対象患者 DPP-4阻害薬,SU薬,TZDによる治療を新たに開始した>65歳のメディケア受給者。
DPP-4阻害薬とSU薬の比較は98,512例(DPP-4阻害薬30,130例,SU薬68,382例,平均年齢75歳,男性41%,ベースラインの心血管疾患55%),DPP-4阻害薬とTZDの比較は34,122例(DPP-4阻害薬20,596例,TZD 13,526例,平均年齢74歳,男性42%,ベースラインの心血管イベント30%)。
●方法 プロペンシティスコア調整Coxモデルを用いて,アウトカムおよび複合アウトカムのハザード比(HR)を算出した。
●結果 SU薬に対するDPP-4阻害薬の複合アウトカムのHRは0.75(95%CI 0.72 to 0.79)であり,この差は主として死亡によるものであった。SU薬に対するDPP-4阻害薬の100例あたりの1年間のリスク差は,MIでは-0.47(-0.61 to -0.32),脳卒中では-0.11(-0.25 to 0.02)であった。
TZDに対するDPP-4阻害薬の複合アウトカムのHRは0.95(95%CI 0.86-1.03)であった。TZDに対するDPP-4阻害薬の100例あたりの1年間のリスク差は,MIでは-0.04(-0.27 to 0.18),脳卒中では-0.07(-0.25 to 0.11)であった。
●結論 SU薬およびTZDに比べてDPP-4阻害薬によるMI,脳卒中,HFの短期的なリスク上昇は認められなかった。