編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Bress AP, King JB, Kreider KE, Beddhu S, Simmons DL, Cheung AK, Zhang Y, Doumas M, Nord J, Sweeney ME, Taylor AA, Herring C, Kostis WJ, Powell J, Rastogi A, Roumie CL, Wiggers A, Williams JS, Yunis R, Zias A, Evans GW, Greene T, Rocco MV, Cushman WC, Reboussin DM, Feinglos MN, Papademetriou V; SPRINT Research Group. Effect of Intensive Versus Standard Blood Pressure Treatment According to Baseline Prediabetes Status: A Post Hoc Analysis of a Randomized Trial. Diabetes Care. 2017 Aug 9. pii: dc170885. [PubMed]

SPRINT研究は,50歳以上の心血管病のリスク因子を有する,非糖尿病の高血圧患者を対象に,強化療法(目標SBP<120mmHg)と標準療法(目標SBP<140mmHg)とを比較した試験である。この結果,3.26年で,一次複合エンドポイント(心筋梗塞,心筋梗塞に至らない急性冠症候群,脳卒中,急性非代償性心不全,および心血管死)が強化療法群で有意に減少したため,早期に中止された。
今回の報告は,非糖尿病のなかでも前糖尿病例と空腹時血糖正常例について検討したものであるが,一次エンドポイントおよび全死亡について前糖尿病例と空腹時血糖正常例いずれにも強化療法の効果が認められ,交互作用はなく,強化療法の効果が示された。
糖尿病患者を対象としたACCORD BP試験では,強化療法(目標SBP<120mmHg)と標準療法(目標SBP<140mmHg)との間に有意な差が認められず,SPRINT研究とは異なった結果であった。
SPRINT研究では,通常の外来血圧測定とは異なり,5分間の安静の後に自動的に3回測定してその平均値を用いており,白衣効果を極力取り除く工夫をしている。したがって,本研究結果を直ちに日常診療における血圧値に適用できるか否かは慎重であるべきであろう。また,従来の臨床試験成績と比較する際にも血圧値の単純な比較はできないと考えられる。
なお,2017年11月,米国心臓協会(AHA)は,高血圧の診断基準を130/80 mmHgまで引き下げている。【景山茂】

●目的 ベースラインの前糖尿病例と空腹時血糖正常例で,収縮期血圧(SBP)低下のための強化療法と標準療法の効果を比較した。
主要評価項目は,心筋梗塞(MI)+MIを来さない急性冠症候群+脳卒中+急性非代償性心不全+心血管死。
●デザイン 無作為試験の事後解析。
●試験期間 追跡期間は中央値3.26年。
●対象患者 SPRINTに参加した前糖尿病例(空腹時血糖[FSG]≧100mg/dL,3,898例)または空腹時血糖正常例(FSG<100mg/dL,5,425例)の9,323例。平均年齢67.9歳,女性35.5%。
登録基準:≧50歳,無治療または1つの降圧薬クラス投与下でのSBP 130~180mmHg,2つの降圧薬クラス投与下でのSBP 130~170mmHg,3つの降圧薬クラス投与下でのSBP 130~160mmHg,4つの降圧薬クラス投与下でのSBP 130~150mmHg,1つ以上の心血管疾患リスクを有する者。
除外基準:糖尿病,脳卒中既往,心不全,蛋白尿≧1g/日,推算糸球体濾過量<20mL/分/1.73m2
●方法 SPRINTでは,対象患者を強化療法群(目標SBP<120mmHg),標準療法群(目標SBP<140mmHg)にランダム化。
本解析では,Cox回帰を用いて強化療法群の標準療法群に対するアウトカムのハザード比(HR)を算出し,前糖尿病例と空腹時血糖正常例で比較した。
●結果 標準療法群に対する強化療法群の主要評価項目のHRは,前糖尿病例0.69(95%CI 0.53-0.89),空腹時血糖正常例0.83(95%CI 0.66-1.03)であり,有意な交互作用を認めなかった(交互作用のp=0.30)。
全死亡のHRは,前糖尿病例0.77(95%CI 0.55-1.06),空腹時血糖正常例0.71(95%CI 0.54-0.94)であり,有意な交互作用は認めなかった(交互作用のp=0.74)。
腎アウトカム,重篤な有害事象に対する強化療法と標準療法の効果についても,前糖尿病例と空腹時血糖正常例で同等であった。
●結論 前糖尿病例と空腹時血糖正常例で,強化療法の有益な作用は同等であった。