編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Marso SP, McGuire DK, Zinman B, Poulter NR, Emerson SS, Pieber TR, Pratley RE, Haahr PM, Lange M, Brown-Frandsen K, Moses A, Skibsted S, Kvist K, Buse JB; DEVOTE Study Group. Efficacy and Safety of Degludec versus Glargine in Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2017; 377: 723-32. [PubMed]

糖尿病治療薬に関する心血管イベントについて検討するよう,米国食品医薬品局(FDA)がガイダンスを発出して以来,各種糖尿病治療薬の心血管イベントに対する影響をみた臨床試験成績が報告されている。
本研究では,glargineに対する,持効型溶解インスリン製剤であるdegludecの心血管イベントの主要複合アウトカムに関する非劣性が認められた。また,空腹時血糖はdegludecにおいて有意に低かったが,重篤な低血糖は有意に少ないという結果であった。
この試験で用いられたインスリン製剤はいずれも100 U/mLである。glargineについては,現在,血中インスリン濃度推移および効果がより平坦かつ持続的で,低血糖の少ない300 U/mL製剤も用いられている。【景山茂】

●目的 心血管イベントのリスクが高い2型糖尿病患者において,degludecとglargineの心血管に関する安全性を比較した。
主要複合アウトカムは心血管死,非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中。
●デザイン 無作為,二重盲検,実薬対照,多施設(20ヵ国,438施設),非劣性。ITT解析。
●試験期間 登録期間は2013年11月~2014年11月。観察期間の中央値は1.99年。
●対象患者 心血管イベントのリスクが高い2型糖尿病患者7,637例。平均年齢65.0歳,糖尿病罹病期間16.4年,HbA1c 8.4±1.7%。インスリン投与例は83.9%,心血管疾患・慢性腎疾患の有病率は85.2%。
採用基準:1剤以上の血糖降下薬による治療を受けている者,HbA1c≧7%(7%未満の場合は基礎インスリン20 unit/日以上の治療を受けている者のみ),50歳以上かつ1つ以上の心血管疾患または腎疾患を有する者,60歳以上かつ1つ以上の心血管リスク因子を有する者。
●方法 対象患者をdegludec群またはglargine群に1:1にランダム化し,いずれの群においても標準治療に加えそれぞれの薬剤を夕食から就寝の間に1日1回投与した。
基礎インスリンまたは混合型インスリン以外の試験前からの血糖降下治療は継続可とした。
基礎インスリンの用量は週1回の用量調節により決定した。用量調節日の2日前と当日の朝食前に血糖自己測定値を3回実施し,そのうち最も低い値に合わせて目標血糖が71~90 mg/dL(脆弱な患者は90~126mg/dL)になるようインスリン用量を調節した。
glargineに対するdegludecの非劣性を検討するため,Cox比例ハザード回帰モデルにより主要複合アウトカムのintention-to-treat populationを解析した。
●結果 追跡期間中の主要複合アウトカムの発症は,degludec群325例(8.5%),glargine群356例(9.3%)であった(ハザード比[HR]0.91,95%CI 0.78 to 1.06,非劣性のp<0.001)。複合アウトカムの各コンポーネントにも両群で有意な差はなかった(心血管死 HR 0.96[95%CI 0.76 to 1.21],非致死性心筋梗塞 0.85[0.68 to 1.06],非致死性脳卒中 0.90[0.65 to 1.23])。死亡にも群間差はなかった(degludec群202例[5.3%] vs. glargine群221例[5.8%],HR 0.91,95%CI 0.76 to 1.11,p=0.35)。
24ヵ月時のHbA1cは両群とも7.5%であり有意差はなかったが(推定治療差0.01%,95%CI -0.05 to 0.07,p=0.78),空腹時血糖はdegludec群のほうがglargine群よりも有意に低かった(128±56mg/dL vs. 136±57 mg/dL,推定治療差-7.2 mg/dL,95%CI -10.3 to -4.1,p<0.001)。
重症低血糖の発生はdegludec群187例で280件(3.70件/100人・年),glargine群252例で472件(6.25件/100人・年)であった(率比0.60,95%CI 0.48 to 0.76,優越性のp<0.001)。1件以上の重症低血糖を経験したのは,degludec群187例(4.9%),glargine群252例(6.6%)であり,絶対差は1.7%であった(オッズ比0.73,優越性のp<0.001)。
有害事象の発生率は両群で差はなかった。
●結論 心血管イベントのリスクが高い2型糖尿病患者において,主要心血管イベント発症に関してdegludecはglarginenに非劣性であった。