編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Birkeland KI, Jørgensen ME, Carstensen B, Persson F, Gulseth HL, Thuresson M, Fenici P, Nathanson D, Nyström T, Eriksson JW, Bodegård J, Norhammar A. Cardiovascular mortality and morbidity in patients with type 2 diabetes following initiation of sodium-glucose co-transporter-2 inhibitors versus other glucose-lowering drugs (CVD-REAL Nordic): a multinational observational analysis. Lancet Diabetes Endocrinol. 2017; 5: 709-17. [PubMed]

おそらく,本邦に比べ体重が大であろう北欧の2型糖尿病患者での検討である。
新規に糖尿病薬を開始した例において,SGLT2阻害薬は他の血糖降下薬に比し,心血管(CV)アウトカムのリスクを低下させたが,全体的なCV発症率は顕著に高かった。今後の日常診療において,せめて非糖尿病患者と同等のCV発症率となるように,より早期からの治療が実践されるべきであろう。【河盛隆造

●目的 SGLT2阻害薬または他の血糖低下薬を開始した2型糖尿病患者において,CVアウトカムを比較した。
評価項目は,CV死,主要有害CVイベント(CV死,心筋梗塞[MI],虚血性または出血性脳卒中),心不全による入院イベント(心不全の一次診断を伴う入院または外来受診),非致死性MI,非致死性脳卒中,全死亡,心房細動,重症低血糖。
●デザイン 観察研究。
●試験期間 追跡期間は平均0.9±4.1年(80,669人-年)。2015年12月31日追跡終了。
●対象患者 2012~2015年に血糖低下薬が処方された2型糖尿病患者91,320例(SGLT2阻害薬22,830例,他の血糖降下薬68,490例)。平均61歳,女性40%,CV疾患既往25%。
除外基準:1型糖尿病,妊娠糖尿病,多嚢胞性卵巣症候群。
●方法 デンマーク,ノルウェー,スウェーデンの処方薬登録,死因登録,全国患者登録の個々の患者レベルデータを使用した。
SGLT2阻害薬の新規使用患者1例につき,傾向スコアを合致させた他の血糖低下薬の新規使用患者3例を抽出し,Cox生存モデルを用いてCVアウトカムのハザード比(HR)を算出した。
●結果 投与されたSGLT2阻害薬は,dapagliflozin 94%,empagliflozin 5%,canagliflozin 1%であった。
SGLT2阻害薬は他の血糖降下薬に比し,CV死(HR 0.53,95%CI 0.40-0.71),主要有害CVイベント(HR 0.78,95%CI 0.69-0.87),心不全による入院イベント(HR 0.70,95%CI 0.61-0.81),全死亡(HR 0.51,95%CI 0.45-0.58)のリスクを有意に低下させたが(すべてp<0.0001),非致死的MI,非致死的脳卒中,心房細動については有意差を認めなかった。重症低血糖のリスクもSGLT2阻害薬で有意に低下した(HR 0.76,95%CI 0.65-0.90,p=0.001)。
ベースラインのCV疾患既往患者と非既往患者の比較では,SGLT2阻害薬によるCV死リスクの低下度は同等であったが(HR 0.60 vs. 0.55),主要有害CVイベントリスクの低下はCV疾患既往患者でのみ認められた(HR 0.70 vs. 0.90)。
●結論 幅広い心血管リスクプロファイルを有する2型糖尿病患者において,SGLT2阻害薬は他の血糖降下薬に比し,CVアウトカムのリスクを低下させた。