編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Leiter LA, Cariou B, Müller-Wieland D, Colhoun HM, Del Prato S, Tinahones FJ, Ray KK, Bujas-Bobanovic M, Domenger C, Mandel J, Samuel R, Henry RR. Efficacy and safety of alirocumab in insulin-treated individuals with type 1 or type 2 diabetes and high cardiovascular risk: The ODYSSEY DM-INSULIN randomized trial. Diabetes Obes Metab. 2017; 19: 1781-92. [PubMed]

虚血性心疾患および糖尿病における高コレステロール血症においては,血清LDL-Cの管理基準は厳しくなり,<100 mg/dLから高リスクの場合には<70 mg/dLを目指すようになっってきた。スタチン単独あるいはezetimibeとの併用によりLDL-Cをコントロールできない場合,PCSK9阻害薬の役割が期待されている。本研究ではLDL-Cは50%近く低下し,LDL-C<70 mg/dLの達成割合は70%を超えた。
スタチンは糖尿病の発症を増加させることが報告されている。本薬は24週という短期間では空腹時血糖,HbA1c,インスリン注射量に対しては有意な変化を来さなかった。今後は,本薬による心血管イベント抑制効果の検証が期待される。
PCSK9阻害薬については,evolocumab(レパーサ®)およびalirocumab(プラルエント®)が,本邦においても家族性高コレステロール血症に加えて,「高コレステロール血症,ただし心血管イベントの発現リスクが高く,HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分な場合に限る」として承認されている。【景山茂】

●目的 インスリン治療中で,心血管の高リスク,かつ最大耐容量のスタチン治療下でLDL-コレステロール(LDL-C)高値の1型および2型糖尿病患者において,alirocumabの有効性と安全性を検討した。
一次エンドポイントは,ベースラインから24週後のLDL-Cの変化率。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照,第IIIb相,多施設(10ヵ国,103施設)。
●試験期間 治療期間は24週,安全性に関する観察期間は8週。
●対象患者 糖尿病患者517例(1型76例,2型441例)。インスリン治療中で,アテローム性動脈硬化症(ASCVD)および/または心血管リスク因子を1つ以上有する者,かつ最大耐容量のスタチン投与下でLDL-C≧70mg/dLの者。
平均年齢は,alirocumab群の1型糖尿病例54.9/2型糖尿病例63.9歳,プラセボ群の1型糖尿病例58.5/2型糖尿病例64.0歳,男性はそれぞれ56.9/54.8/68.0/53.1%,BMI 30.6/32.6/28.7/32.7kg/m2,HbA1c 7.8/7.5/7.7/7.5%,ASCVD 21.6/40.5/20.0/39.5%,糖尿病罹病期間34.6/15.4/36.6/16.5年,LDL-C 126.4/110.8/110.2/109.6 mg/dL,総コレステロール205.1/190.2/195.2/189.9mg/dL。
●方法 対象患者を糖尿病の病型で層別化した後,alirocumab群(345例)およびプラセボ群(172例)に2:1にランダム化。試験薬は2週間に1度,ペン型デバイスで投与した。
alirobumabの開始用量は75mgとし,8週時にLDL-C≧70mg/dLの場合は150mgまで増量した。試験期間中,スタチンもしくは他の脂質降下療法は継続とした。
●結果 試験を完遂したのは全対象患者の90.7%であった。
プラセボ群と比較したalirocumab群における24週後のLDL-Cの低下度は,2型糖尿病例で-49.0%(95%CI -54.4 to -43.6),1型糖尿病例で-47.8%(-60.7 to -35.0)であった(いずれもp<0.0001)。有意な低下は,非HDL-C(それぞれ-38.7%,-42.7%,p<0.0001),アポリポ蛋白B(-36.7%,-39.0%,p<0.0001),リポ蛋白(a)(-18.4%,-18.7%,p≦0.0039)で認められた。
24週時において,alirocumab群でLDL-C<70mg/dLを達成したのは,2型糖尿病例76.4%、1型糖尿病例70.2%であった。
HbA1cおよび空腹時血糖レベルは試験期間中,安定していた。
治療に関連した有害事象の発生率は,alirocumab群64.5%,プラセボ群64.1%であった。
●結論 糖尿病の病型に関わらず,インスリン治療下の糖尿病患者において,alirocumabはLDL-Cを低下させた。忍容性は良好であり,インスリンとalirocumabの併用は安全性に関する問題はないことが示された。