編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2017年12月現在,1134報収載!
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Holman RR, Bethel MA, Mentz RJ, Thompson VP, Lokhnygina Y, Buse JB, Chan JC, Choi J, Gustavson SM, Iqbal N, Maggioni AP, Marso SP, Öhman P, Pagidipati NJ, Poulter N, Ramachandran A, Zinman B, Hernandez AF; EXSCEL Study Group. Effects of Once-Weekly Exenatide on Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2017; 377: 1228-39. [PubMed]

本試験は,徐放性のexenatide製剤を週1回で3.2年間投与し,プラセボ群と比較した心血管アウトカム試験である。以前に報告されたliraglutideを用いたLEADER試験や,semaglutideを用いたSUSTAIN 6試験とは異なり,3P-MACEには有意な差がみられなかった。ただ,全死亡がHR 0.86(95%CI:0.77 to 0.97)で減少傾向ではあった。LEADER試験でみられたほど3P-MACEや全死亡が減少しなかったことは,本試験の実施期間が3.2年と短く,開始時のHbA1cが8.0%とLEADER試験の8.7%に比べて良好であったことや,試験薬の中止例が多かった(実薬群とプラセボ群での早期中断例が43.0% vs. 45.2%,患者の希望による中断例が30.3% vs. 32.0%,特に注射を続けたくないとの理由での中断例が30.3% vs. 32.0%)こと,対照群にDPP-4阻害薬やSGLT2阻害薬がやや高率で使われたことなどがあげられる。ただし,急性冠症候群を起こした患者にlixisenatideを投与したELIXA試験では,プラセボ群と比較して4P-MACEや全死亡に有意な変化を認めず,上記3つのトライアルとは趣を異にしている。
いずれにしても,EXSCEL試験で用いられた徐放性のexenatide製剤の注射デバイスはあまり評判がよいものではなかったことがあり,投与期間が予想の約75%にとどまった。すなわち25%の患者が途中で試験の中止を申し出たことで,試験の統計的パワーが低下したと考えられる。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病患者において,exenatideの心血管に関する長期の安全性と有効性を検討した。
一次アウトカムは心血管疾患による死亡,非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中の複合。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照,多施設(35ヵ国,687施設)。ITT解析。
●試験期間 治療期間は2010年6月18日~2015年9月16日,追跡期間は中央値3.2年。
●対象患者 HbA1c 6.5~10.0%の2型糖尿病患者14,752例。心血管疾患73.1%,心不全の既往16.2%。糖尿病罹病期間12年,HbA1c 8.0%。
除外基準:12ヵ月以内に2回以上の重症低血糖エピソードの既往,末期腎不全または推算糸球体濾過量<30mL/分/1.73m2,甲状腺髄様がんまたは2型多発性内分泌腺腫の家族歴,ベースラインのカルシトニン値≧40ng/L,GLP-1受容体作動薬の治療歴。
●方法 対象患者をexenatide群(7,356例)またはプラセボ群(7,396例)に1:1にランダム化。
exenatideの用量は2mgで,両群とも週1回,皮下投与した。
Cox比例ハザードモデルを用いて,一次複合アウトカムの解析を行った。
●結果 試験を完遂したのは14,187例(96.2%)であった。
6ヵ月後のHbA1cはexenatide群のほうがプラセボ群よりも0.7ポイント低かったが(95%CI:-0.7 to -0.6),この差は試験の進行とともに狭まった(全体の最小二乗平均差-0.53%,95%CI:-0.57 to -0.50,p<0.001)。exenatide群はプラセボ群よりも,体重(平均差-1.27kg),収縮期血圧(-1.57mmHg),LDL-コレステロール(-1.5mg/dL),トリグリセリド(-1.8mg/dL)の最小二乗平均値が低く,拡張期血圧(0.25mmHg),心拍数(2.51bpm)が高かった。
追跡期間中の一次アウトカムの発症率は,exenatide群11.4%(3.7件/100人-年),プラセボ群12.2%(4.0件/100人-年)であり,exenatideのプラセボに対する安全性の非劣性が示されたが(ハザード比0.91,95%CI:0.83 to 1.00,非劣性のp<0.001),優越性は認められなかった(優越性のp=0.06)。
心血管疾患による死亡,致死性または非致死性の心筋梗塞および脳卒中,心不全および急性冠症候群による入院,急性膵炎,膵臓がん,甲状腺随様がん,重篤な有害事象は両群で有意な差はなかった。
●結論 2型糖尿病患者において,主要な心血管イベントの発症はexenatideとプラセボで有意な差はなかった。