編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Dandona P, Mathieu C, Phillip M, Hansen L, Griffen SC, Tschöpe D, Thorén F, Xu J, Langkilde AM; DEPICT-1 Investigators. Efficacy and safety of dapagliflozin in patients with inadequately controlled type 1 diabetes (DEPICT-1): 24 week results from a multicentre, double-blind, phase 3, randomised controlled trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2017; 5: 864-76. [PubMed]

1型糖尿病における適切な血糖コントロールは,DCCTおよびEDICにより,細小血管障害・大血管障害の双方の発症・進展に対して効果のあることが示されている。各種インスリン製剤と血糖自己測定を用いた強化インスリン療法により,1型糖尿病の血糖コントロールは著しく改善したが,なお十分な血糖コントロールの得られないこともあり,また患者の負担が過大になっていることも否めない。そこで,既存の糖尿病治療薬とインスリンとの併用により患者負担を増やすことなく,血糖コントロールを改善し,合併症の発症・進展の予防が図られることが期待されている。
SGLT2阻害薬はインスリン作用を介さずに作用を発揮するので,1型糖尿病においても血糖コントロールの改善に寄与すると予想される。本研究により,SGLT2阻害薬は血糖コントロールを改善し,懸念された副作用である重症低血糖およびケトアシドーシスもプラセボと比較して有意に増加せず,インスリンとの併用の可能性が示された。
SGLT2阻害薬については,2型糖尿病においてempagliflozinおよびcanagliflozinは,心血管イベントを抑制することが報告されている。1型糖尿病におけるSGLT2阻害薬の今後の展開に期待したい。【景山茂】

●目的 コントロール不良の1型糖尿病患者において,インスリン療法へのdapagliflozin追加の有効性と安全性を検討した。
主要評価項目は24週後のHbA1c変化。
●デザイン 無作為,二重盲検,パラレル,第3相,多施設(17ヵ国[オーストラリア,オーストリア,ベルギー,カナダ,ドイツ,デンマーク,フィンランド,フランス,ハンガリー,イスラエル,イタリア,メキシコ,ルーマニア,スペイン,スウェーデン,英国,米国]の143施設)。
●試験期間 登録期間は2014年11月11日~2016年4月16日。最終データ収集は2017年1月4日。
●対象患者 コントロール不良の1型糖尿病患者833例。平均HbA1c 8.53%。
登録基準:18~75歳,スクリーニング時のHbA1c 7.7~11.0%,ランダム化時のHbA1c 7.5~10.5%,登録前のインスリン治療歴≧12ヵ月(スクリーニング前≧3ヵ月の総インスリン用量≧0.3IU/kg/日),C-ペプチド<0.7ng/mL,BMI≧18.5kg/m2
除外基準:2型糖尿病既往,若年発症成人型糖尿病,膵手術歴,慢性膵炎またはβ細胞能低下をきたす他の膵疾患,尿崩症,1ヵ月以内の治療を要する糖尿病ケトアシドーシス,1ヵ月以内の高血糖または低血糖による入院,6ヵ月以内の心血管疾患,不安定または急速進行腎症,重大な肝疾患,5年以内の悪性腫瘍,1ヵ月以内の重度低血糖,コントロール不良糖尿病の症状,SGLT2阻害薬の使用歴,クレアチニンクリアランス<60mL/分。
●方法 糖尿病治療を至適化する8週の導入期間後,対象患者を持続血糖モニタリング使用,インスリン投与法,ベースラインのHbA1cで層別化し,dapagliflozin 5mg群(277例),10mg群(296例),プラセボ群(260例)に1:1:1にランダム化。試験薬は1日1回の経口投与とした。
有効性の解析対象は,ランダム化が適正に行われなかった55例を除外した778例(dapagliflozin 5mg群259例,10mg群259例,プラセボ群260例)。安全性の解析には,ランダム化が適正に行われずdapagliflozinに割り付けらえた55例を含めた。
●結果 プラセボ群と比較した場合の24週後のHbA1c変化は,dapagliflozin 5mg群で-0.42%(95%CI-0.56 to -0.28,p<0.0001),10mg群で-0.45%(-0.58 to -0.31,p<0.0001)であった。プラセボ群と比べ,総インスリン量の変化は5mg群で-8.8%(-12.6 to -4.9,p<0.0001),10mg群で-13.2%(-16.8 to -9.4,p<0.0001),体重の変化はそれぞれ-2.96%(-3.63 to -2.28,p<0.0001),-3.72%(-4.38 to -3.05,p<0.0001)であった。
dapagliflozin 5mg群,10mg群,プラセボ群における頻度の高い有害事象は,鼻咽頭炎(14%,12%,15%),尿路感染症(7%,4%,5%),上気道感染症(5%,5%,4%),頭痛(4%,6%,4%)であった。
dapagliflozin 5mg群,10mg群,プラセボ群で,低血糖発生率はそれぞれ79%,79%,80%,重度低血糖発生率は8%,6%,7%であった。
明確に確認された糖尿病ケトアシドーシスは,dapagliflozin 5mg群4例(1%),10mg群5例(2%),プラセボ群3例(1%)であった。
●結論 コントロール不良の1型糖尿病患者において,インスリンへのdapagliflozin追加により血糖コントロールが改善した。