編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Wu JHY, Marklund M, Imamura F, Tintle N, Ardisson Korat AV, de Goede J, Zhou X, Yang WS, de Oliveira Otto MC, Kröger J, Qureshi W, Virtanen JK, Bassett JK, Frazier-Wood AC, Lankinen M, Murphy RA, Rajaobelina K, Del Gobbo LC, Forouhi NG, Luben R, Khaw KT, Wareham N, Kalsbeek A, Veenstra J, Luo J, Hu FB, Lin HJ, Siscovick DS, Boeing H, Chen TA, Steffen B, Steffen LM, Hodge A, Eriksdottir G, Smith AV, Gudnason V, Harris TB, Brouwer IA, Berr C, Helmer C, Samieri C, Laakso M, Tsai MY, Giles GG, Nurmi T, Wagenknecht L, Schulze MB, Lemaitre RN, Chien KL, Soedamah-Muthu SS, Geleijnse JM, Sun Q5, Harris WS, Lind L, Ärnlöv J, Riserus U, Micha R, Mozaffarian D; Cohorts for Heart and Aging Research in Genomic Epidemiology (CHARGE) Fatty Acids and Outcomes Research Consortium (FORCE). Omega-6 fatty acid biomarkers and incident type 2 diabetes: pooled analysis of individual-level data for 39 740 adults from 20 prospective cohort studies. Lancet Diabetes Endocrinol. 2017; 5: 965-74. [PubMed]

ω-6多価不飽和脂肪酸の摂取が心血管疾患を減らすという多くのエビデンスから,AHAのガイドラインや米国の食事摂取基準では,総エネルギー量の5~10%を主に植物由来のリノール酸から摂取するように勧めている。しかしながら,リノール酸はω-3多価不飽和脂肪酸に拮抗する,あるいはリノール酸の代謝産物であるアラキドン酸が生体にとって炎症惹起性で有害だとの反対意見も根強い。
今回のメタ解析では,リノール酸は2型糖尿病の発症予防にはたらき,アラキドン酸は関連がないことが明らかにされた。リノール酸濃度を5分位にした場合,最も高値の群では最も低値の群に対して,2型糖尿病の発症率が43%減少することが示された。その機序については不明であるが,細胞膜の流動性に影響を与え,インスリン受容体の活性を高めることなどが想定される。
最近,the European Prospective Investigation into Cancer (EPIC)コホートでの研究でも,血漿のリン脂質中のリノール酸濃度と2型糖尿病が逆相関し,アラキドン酸とはやはり関連がないことが報告されている(PLoS Med 2016:e1002094 [PubMed])【片山茂裕】。

●目的 リノール酸およびアラキドン酸のバイオマーカーと2型糖尿病発症の関連を評価し,その修正因子を検討した。
●デザイン 統合解析,メタアナリシス。
●試験期間 追跡期間は366,073人-年。
●対象患者 10ヵ国(米国,アイスランド,オランダ,ドイツ,フィンランド,英国,スウェーデン,フランス,オーストラリア,台湾)の1970~2010年までに行われたコホート研究20件に参加した成人39,740例。平均年齢49~76歳,BMI 23.3~28.4 kg/m2
登録基準:≧18歳。
除外基準:ベースラインの2型糖尿病。
●方法 検索語を「ω-6」「リノール酸」「アラキドン酸」「糖尿病」「コホート研究」「前向き研究」「コホート内症例対照研究」とし,MEDLINEで2016年2月10日までの研究を検索。曝露,共変量,効果の修飾因子,解析の事前に策定された解析計画を用いて,各コホートおよび脂質コンポーネントにおける2型糖尿病の相対リスクを評価し,そのデータを逆分散重み付けを加えたメタアナリシスにてプールした。
●結果 366,073人・年の追跡期間中の2型糖尿病の発症は4,347例であった。
多変量調整統合解析において,総脂肪酸に対するリノール酸バイオマーカーの割合が高いと,2型糖尿病リスクが有意に低下した(五分位範囲あたりのリスク比[RR]0.65,95%CI 0.60-0.72,p<0.0001;I2=53.9%,不均一性のp=0.002)。リノール酸バイオマーカーと2型糖尿病の関連は,さまざまな脂質コンパートメント(リン脂質,総血漿または血清,コレステロールエステル,脂肪組織)で同等であった。
アラキドン酸バイオマーカーの割合は,2型糖尿病リスクと有意な関連を認めなかった(五分位範囲あたりのRR 0.96,95%CI 0.88-1.05,p=0.38;I2=63.0%,不均一性のp<0.0001)。
事前に規定された不均一性の潜在源(年齢,BMI,性別,人種,アスピリン使用,ω-3多価不飽和脂肪酸レベル,脂肪酸不飽和化酵素遺伝子[FADS]の遺伝子変異)は,リノール酸およびアラキドン酸バイオマーカーと2型糖尿病リスクの関連に関与しなかった。
●結論 リノール酸は2型糖尿病の発症予防に長期的ベネフィットを有し,アラキドン酸は有害ではないことが示唆された。