編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Xie Y, Bowe B, Li T, Xian H, Yan Y, Al-Aly Z. Higher blood urea nitrogen is associated with increased risk of incident diabetes mellitus. Kidney Int. 2018; 93: 741-52. [PubMed]

慢性腎臓行が進行するにつれて,インスリン抵抗性となり糖代謝異常を呈する頻度が高まることが知られている。しかしながら,それとともに膵β細胞からのインスリン分泌も障害されたり,腎臓からのインスリンのクリアランスも低下することもあり,これらのバランスの違いから,すべての報告が一致しているわけではない。今回の133万人余の退役軍人の解析から,対象の大部分が高齢の白人男性という特殊性はあるが,血中BUN濃度が上昇するとeGFRとは独立して糖尿病発症のリスクを高めることが明らかにされた。腎機能の低下に伴って蓄積する尿毒症性代謝産物(BUNをはじめp-cresyl sulfatesなど)が,酸化ストレスを増加させることなどが動物実験でも証明されている。高値となったBUNが血糖コントロールに悪影響を与えるのか,すなわち血糖降下薬やインスリンの効き方に悪影響を与えるのかなども今後の検討課題である。【片山茂裕

●目的 非糖尿病例において,血中尿素窒素(BUN)上昇と糖尿病発症リスク増大の関連性を検討した。
評価項目は糖尿病の発症。
●デザイン コホート。
●試験期間 追跡期間は4.93年(中央値)。
●対象患者 糖尿病のない米国退役軍人(VA)1,337,452例。平均年齢65.74歳,男性94.53%,推算糸球体濾過量(eGFR)75.55 mL/分/1.73m2,BUN 16.78 mg/dL。
●方法 米国VA省データベースを使用し,2003年10月1月までの登録例を対象とした。時間依存型多変量Cox生存モデルを用いて,BUN値と糖尿病発症の関連性を解析した。
●結果 追跡期間中の糖尿病発症は172,913例(12.93%)であった。
年齢,人種,性別,BMI,血清二酸化炭素,アルブミン尿,外来受診頻度,入院頻度,重大な併発疾患,健康特性を調整後,eGFR≧60mL/分/1.73m2に比し,eGFR<30かつ≧15mL/分/1.73m2と<15mL/分/1.73m2では糖尿病発症リスクが増大した(ハザード比[HR]はそれぞれ1.17[95%CI 1.12-1.22],1.64[1.48-1.82])。
BUN≦25mg/dLの場合はeGFRと糖尿病発症リスクの関連を認めなかったが,BUN>25mg/dLの場合はすべてのeGFRレベルで糖尿病発症リスクが有意に増大し,BUN>25mg/dLかつeGFR<15mL/分/1.73m2の症例で糖尿病発症リスクが最も高かった(HR 1.68,95%CI 1.51-1.87)。
eGFRを連続変数として含めたモデルにおいて,BUN>25mg/dLは≦25mg/dLに比し,糖尿病発症リスクが増大した(HR 1.23,95%CI 1.21-1.25)。eGFRの10mL/分/1.73m2低下と糖尿病発症リスクの関連は認めなかった(HR 1.00,95%CI 1.00-1.01)。
BUNの10mg/dL上昇に伴い,eGFRの影響とは独立して糖尿病発症リスクが増大した(HR 1.15,95%CI 1.14-1.16)。
●結論 非糖尿病例において,BUN上昇により糖尿病発症リスクが増大した。