編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Wanner C, Lachin JM, Inzucchi SE, Fitchett D, Mattheus M, George J, Woerle HJ, Broedl UC, von Eynatten M, Zinman B; EMPA-REG OUTCOME Investigators: Empagliflozin and Clinical Outcomes in Patients With Type 2 Diabetes Mellitus, Established Cardiovascular Disease, and Chronic Kidney Disease. Circulation. 2018; 137: 119-29. [PubMed]

EMPA-REG OUTCOME試験では,empagliflozinはプラセボに比し3P-MACEを14%減少させ,心血管死を38%減少,心不全による入院を35%,全死亡を32%減少させた。また,同試験の腎細小血管アウトカムの検討では,empagliflozinはプラセボに比し腎症の発症や悪化を39%減少させた。
欧米の2型糖尿病患者では40%が慢性腎臓病(CKD)を有しており,20%以上がeGFR<60mL/分/1.73m2の3期以上のステージである。CKDの合併は当然,心血管疾患のリスクを上昇させると予想されるが,SGLT2阻害薬がどのような影響を与えるかは解明されていない。
本解析はEMPA-REG OUTCOME試験に参加した心血管疾患を有する2型糖尿病患者のうち,eGFR<60mL/分/1.73m2および/または尿中アルブミン-クレアチニン比(UACR)>300mg/gの腎症例2,250例のサブ解析である。腎機能が低下している際には本薬の薬効が減弱するので,本サブ解析でも,eGFR<60mL/分/1.73m2の患者群でのempagliflozin によるHbA1cの低下度は,eGFR≧60 mL/分/1.73m2の患者群に比べて小さかった(12週でのHbA1c低下度は10mg投与群ではそれぞれ-0.45% vs. -0.71%,25mg投与群では-0.46% vs. -0.79%)。しかしながら,それにも関わらず,心血管死・全死亡・心不全による入院リスクなどのハザード比の低下度は,全体での解析と遜色がなかった。SGLT2阻害薬はeGFR<45mL/分/1.73m2の患者では薬効が期待できないため禁忌とされているが,eGFRが45~60 mL/分/1.73m2の患者群では心血管疾患死や全死亡や心不全による入院リスクの減少に資することが明らかになったといえる。【片山茂裕

●目的 心血管疾患(CVD)と腎症を有する2型糖尿病患者において,empagliflozinの効果を検討した。
主要評価項目は,心血管死,心不全による入院,全入院,全死亡。
●デザイン 無作為,プラセボ対照。
●試験期間 -
●対象患者 EMPA-REG OUTCOME試験に参加した2型糖尿病患者のうち,推算糸球体濾過量(eGFR)<60mL/分/1.73m2および/または尿中アルブミン-クレアチニン比(UACR)>300mg/gの腎症例2,250例。
EMPA-REG OUTCOME試験の登録基準:HbA1c 7.0~9.0%(薬剤投与歴のない場合)または7.0~10.0%(安定した血糖降下療法を行っている場合),既知のCVD,eGFR≧30mL/分/1.73m2
●方法 EMPA-REG OUTCOME試験では,empagliflozin 10mg群,25mg群,プラセボ群にランダム化して,標準治療に1日1回追加投与。
本解析では,ベースラインの腎症例において,主要評価項目に対するempagliflozinの効果を評価した。
●結果 腎症例において,empagliflozinはプラセボに比し,心血管死リスクを29%減少(ハザード比[HR]0.71,95%CI 0.52-0.98),全死亡リスクを24%減少(HR 0.76,95%CI 0.59-0.99),心不全による入院リスクを39%減少(HR 0.61,95%CI 0.42-0.87),全入院リスクを19%減少させた(HR 0.81,95%CI 0.72-0.92)。
eGFR別(<45,45~<60,60~<90,≧90mL/分/1.73m2),UACR別(>300,30~≦300,<30mg/g)のサブグループ解析を行ったところ,その結果は上記と同様であった。
eGFR<60mL/分/1.73m2の患者におけるempagliflozinの有害事象プロファイルは,試験の全対象の場合と一致していた。
●結論 既知のCVDと腎症を有する2型糖尿病患者において,empagliflozinは臨床アウトカムを改善し,死亡率を低下させた。