編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2018年8月現在,1171報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Pratley RE, Eldor R, Raji A, Golm G, Huyck SB, Qiu Y, Sunga S, Johnson J, Terra SG, Mancuso JP, Engel SS, Lauring B. Ertugliflozin plus sitagliptin versus either individual agent over 52 weeks in patients with type 2 diabetes mellitus inadequately controlled with metformin: The VERTIS FACTORIAL randomized trial. Diabetes Obes Metab. 2018; 20: 1111-20. [PubMed]

metforminで十分な血糖コントロールが得られない場合の次の選択については,明確なエビデンスはない。
本研究では,SGLT2阻害薬ertugliflozinとDPP-4阻害薬sitagliptinの組み合わせによる治療は,それぞれの単剤使用よりもHbA1cの低下作用が大きいことが示された。また,両薬剤の併用は血糖のみならず,体重と血圧に対しても効果が認められたことは注目すべき点であろう。
糖尿病治療の目的の一つである大血管障害に対しては,SGLT2阻害薬のempagliflozin,canagliflozinの効果が報告されている。今後のエビデンスの蓄積に期待したい。
わが国では,SGLT2阻害薬ipragliflozinとDPP-4阻害薬sitagliptinの配合剤スージャヌ®が最近発売された。
なお,ertugliflozinはわが国では発売されていない。【景山茂】

●目的 metformin治療でコントロール不良の2型糖尿病患者において,ertugliflozin+sitagliptinの併用投与は,それぞれの単独投与よりも血糖コントロールが優るか否かを検討した。
一次エンドポイントは,ベースラインからのHbA1cの変化。
●デザイン 無作為,二重盲検,多施設(21ヵ国,242施設),factorial,第III相。
●試験期間 試験期間は2014年4月29日~2016年5月26日。追跡期間は26週および52週。
●対象患者 metformin治療下でコントロール不良の2型糖尿病患者1,233例。平均年齢54~55歳,男性50~62%,HbA1c 8.5~8.6%,BMI 31.5~32.5kg/m2,推算糸球体濾過量(eGFR) 91.9~92.8mL/分/1.73m2
選択基準:18歳以上,8週間以上のmetformin≧1500mg治療下でのHbA1c≧7.5%および≦11.0%(metformin≧1500mgが8週間未満,あるいはスクリーニング時<1500mgの場合は,8週間以上のmetformin≧1500mg単独治療を行った場合を適格とした)。
除外基準:1型糖尿病,ケトアシドーシスの既往,eGFR<60mL/分/1.73m2,血清クレアチニン値≧1.3mg/dL(男性)および≧1.2mg/dL(女性),3ヵ月以内の心血管イベントの既往,12ヵ月以内のプロトコールで定められた以外の血糖降下薬(インスリン,注射による血糖降下薬,pioglitazone,rosiglitazone,SGLT2阻害薬,αグルコシダーゼ阻害薬,meglitinide,DPP-4阻害薬,SU薬など)による治療。
●方法 対象患者を,ertugliflozin 5mg(E5)群,ertugliflozin 15mg群(E15),sitagliptin 100mg群(S100),E5+S100群,E15+S100群にランダム化。
sitagliptinとertugliflozinは,別々の錠剤として,朝食の有無に関わらず毎朝同時に服用とした。空腹時血糖が>270mg/dL(1日~6週),>240mg/dL(6~12週),>200mg/dL(12週以降)の場合,glimepirideまたはインスリンglargineによる救援治療を行った。
本研究は2つのphaseから成り,26週後(Phase A)に一次エンドポイントおよび二次エンドポイント(空腹時血糖のベースラインからの変化,体重,収縮期血圧,HbA1cが7%未満の割合)を評価し,続く26週後(Phase B)に長期の安全性と有効性を評価した。
●結果 26週間の試験期間を完遂できたのは≧89.5%であり,一次エンドポイントの解析対象となったのは1,232例であった。
26週後のHbA1c低下度の最小二乗平均は,併用投与のE5+S100群(-1.5%)およびE15+S100群(-1.5%)のほうが,単独投与のE5群(-1.0%)およびE15群(-1.1%),S100群(-1.1%)よりも有意に大であった(すべてP<0.001)。
HbA1c<7.0%を達成した患者の割合は,E5群26.4%,E15群31.9%,S100群32.8%,E5+S100群52.3%,E15+S100群49.2%であった。空腹時血糖の低下度は,それぞれ-35.7mg/dL,-36.9mg/dL,-25.6mg/dL,-44.0mg/dL,-48.7mg/dLであり,単独投与の3群よりも併用投与の2群のほうが有意に大きかった。
体重および収縮期血圧は,S100群に比べ,E5+S100群およびE15+S100群で有意に低下した。
ertugliflozinによる血糖コントロール,体重,収縮期血圧に対する効果は,52週後も持続した。性器感染症は,sitagliptinのみによる治療に比べ,ertugliflozinによる治療で増加した。症候性低血糖,および血液量減少と尿路感染症に関する有害事象は,全群において同様であった。
●結論 metformin治療下でコントロール不良の2型糖尿病患者において,ertugliflozinとsitagliptinの併用投与は,単独投与に比べ,52週間にわたり血糖コントロールに優れることが示唆された。