編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Forbes A, Murrells T, Mulnier H, Sinclair AJ. Mean HbA1c, HbA1c variability, and mortality in people with diabetes aged 70 years and older: a retrospective cohort study. Lancet Diabetes Endocrinol. 2018; 6: 476-86. [PubMed]

本検討の対象となった症例の大多数が高齢であり,多くの疾病を有し,死亡率も高かった。日常臨床に参考になる重要な点は,高齢者においても,HbA1cが高値である例では,死亡リスクが大であったことである。高齢者では貧血でヘモグロビン値が低く,したがってHbA1cが実際より低く表される例も多かったのではなかろうか。HbA1c変動は,必ずしも治療法の強化や治療薬の減量などのみによるものではなかろう。治療薬として,インスリンやSU薬が使用されていたケースとそれ以外のケースでの解析を行えば,どのような結果になるであろうか。【河盛隆造

●目的 ≧70歳の糖尿病患者において,平均HbA1cおよび経時的HbA1c変動性と死亡の関連を検討した。
主要評価項目は全死亡。
●デザイン 後向き,コホート。
●試験期間 ベースラインの観察期間は4年(2003年1月1日~2006年12月31日)。追跡期間は5年(2007年1月1日~2012年12月31日または死亡時)。
●対象患者 ≧70歳の1型または2型糖尿病患者54,803例。男性26,786例(平均77.49歳),女性28,017例(平均79.00歳)。
●方法 英国のプライマリーケア診療587施設のデータを登録したThe Health Improvement Network(THIN)データベースを使用した。
次の3つのモデルにおける平均HbA1cを評価:2003~2006年の年間平均HbA1cの平均(モデル1),全追跡期間の年間平均HbA1cの平均(モデル2),時変モデルを用いた最新年間平均HbA1c(モデル3)。
経時的HbA1c変動性は,HbA1cの変化≧0.5%となった回数を比較数で割って100を乗じ,0~100の変動性スコアを算出した(0は低変動性,100は高変動性)。
●結果 追跡期間中に17,680例が死亡し(男性9,066例[33.8%],女性8,614例[30.7%]),1000人-年あたりの全死亡率は77(男性80,女性73)であった。
男女ともにHbA1c上昇に伴う死亡リスクはJ字型を示し,>8%および<6%で有意に上昇した(モデル1のHbA1c 8~<8.5%の男性,モデル1および3のHbA1c<6%の男女を除く)。
すべてのモデルにおいて,男女ともにHbA1c変動性の増大に伴って死亡リスクは有意に上昇し,モデル2の場合,血糖変動性スコア0~20に対する80~100の調整ハザード比は男性2.21,女性2.47であった。
血糖変動性スコアに平均HbA1cモデルを適合させるとリスク分布が変化し,変化が著明であったモデル2で有意なリスク上昇を認めたのは,HbA1c>9%の男性および>9.5%の女性のみであった。
●結論 高齢の糖尿病患者において,血糖レベルを安定して中程度に保つことにより,死亡リスクが低下することが示唆された。