編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Prospective Studies Collaboration and Asia Pacific Cohort Studies Collaboration. Sex-specific relevance of diabetes to occlusive vascular and other mortality: a collaborative meta-analysis of individual data from 980 793 adults from 68 prospective studies. Lancet Diabetes Endocrinol. 2018; 6: 538-46. [PubMed]

これまでの多くの疫学的検討では,糖尿病患者では非糖尿病に比べて心血管疾患が高率に生じ,このリスクは男性よりも女性で高いことが報告されている。今回のメタ解析は,心血管疾患のうち閉塞性血管死(虚血性心疾患,虚血性脳卒中,他の動脈硬化性疾患による死亡)に焦点をあてて,糖尿病の有無,性差,リスク因子を検討している。
本解析に含まれた参加者は,西欧・中欧から52.6%,南東アジアから27.7%,北米から12.5%,オーストラリアから7.2%であり,全体の4.3%(男性の5.0%,女性の3.4%)が糖尿病であった。このような集団でのメタ解析で,従来の報告通り,糖尿病患者での閉塞性血管死リスクは男性で約2倍,女性で3倍と高率であった。また,全年齢層で,閉塞性血管死リスクは女性で男性より高く,35~59歳の女性で最も高かった。糖尿病・非糖尿病とも,血清総コレステロール濃度,収縮期血圧,BMIとの連続的対数線形相関が認められている。
追跡開始時の情報が完全に得られている今回のメタ解析でも,性差を説明できるような解釈は得られなかったが,女性におけるホルモン補充療法の血清脂質への影響や,炎症の強さなどいくつかの可能性を考慮し,これらをターゲットとした治療が必要であろう。【片山茂裕

●目的 糖尿病と閉塞性血管死リスクの関連を男女別に評価し,糖尿病と関連する因子(血圧,血中コレステロール,BMI)の閉塞性血管死への影響が糖尿病の有無により異なるか否かを検討した。
●デザイン メタアナリシス。
●試験期間 登録期間は1949~1997年。最終追跡は1985~2002年。追跡期間は980万人・年。
●対象患者 Prospective Studies Collaboration(PSC)およびAsia Pacific Cohort Studies Collaboration(APCSC)の参加者980,793例(男性568,525例,女性412,268例)。登録時の平均年齢は46歳。
●方法 血圧および血清脂質のデータを記録した前向き観察研究の共同メタアナリシスである,PSCおよびAPCSCに含まれた観察研究68件の患者レベルデータを使用した。
死亡証明書により死因を特定。
閉塞性血管死(虚血性心疾患,虚血性脳卒中,他の動脈硬化性疾患による死亡)に対する糖尿病の影響を,年齢,性別,他の主要血管リスク因子別に評価。閉塞性血管死の絶対率を,糖尿病の有無別,男女別,年齢群別(30~59歳,60~69歳,70~89歳)に推定。
閉塞性血管死に対する収縮期血圧,総コレステロール,BMIの影響を,糖尿病の有無別に評価した。
●結果 35~89歳における死亡76,765例のうち19,686例(25.6%)が閉塞性血管疾患に起因していた。
主要血管リスク因子を調整後,糖尿病は閉塞性血管死リスクを男性では約2倍に上昇させ(率比[RR]2.10,95%CI 1.97-2.24),女性では3倍に上昇させた(RR 3.00,95%CI 2.71-3.33)。男女合わせた閉塞性血管死のRRは35~59歳で70~89歳より有意に高く(2.60[95%CI 2.30-2.94] vs. 2.01[1.85-2.19]),閉塞性血管死リスクは男性より女性で高く,35~59歳の女性で最も高かった(RR 5.55,95%CI 4.15-7.44)。
交絡因子を調整後の閉塞性血管死リスクは男性で女性より高く,糖尿病による閉塞性血管死の絶対増加は男性と女性で同等であった(絶対リスクの年間上昇率:35~59歳は男性0.08%,女性0.05%,70~89歳は男性0.91%,女性1.08%)。
糖尿病例,非糖尿病例ともに,総コレステロール,収縮期血圧,BMIはそれぞれ閉塞性血管死と連続的対数線形相関を示した。
●結論 男女ともに,糖尿病は他の主要血管リスク因子とは独立して血管リスクを著明に上昇させた。糖尿病の男性・女性において,喫煙量減少,肥満の是正,主要血管リスクを標的とした費用対効果の高い薬剤による治療が重要であるものの,詳細は不明であるが,糖尿病の女性においてはこれらの治療が閉塞性血管疾患のリスク増大を軽減しないことが示唆された。