編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Orsi E, Solini A, Bonora E, Fondelli C, Trevisan R, Vedovato M, Cavalot F, Gruden G, Morano S, Nicolucci A, Penno G, Pugliese G; Renal Insufficiency and Cardiovascular Events (RIACE) Study Group. Haemoglobin A1c variability is a strong, independent predictor of all-cause mortality in patients with type 2 diabetes. Diabetes Obes Metab. 2018; 20: 1885-93. [PubMed]

HbA1cによって示される血糖コントロールレベルと細小血管障害の発症・進展との間には密接な関連のあることは多くの研究により示されている。一方,大血管障害と血糖コントロールレベルとの関係は必ずしも明らかではない。
本研究では,全死亡の原因の内訳は明らかではないが,対象が白人なので死亡の相当部分は大血管障害による死亡と推測される。ACCORD, ADVANCE, VADT試験において厳格な血糖コントロールは主要心血管イベントの予防に寄与せず,ACCORD試験では厳格な血糖コントロール群(目標HbA1c<6.0%)では,有意な死亡の増加が認められたことが報じられて10年が経過した。
HbA1cにより示される血糖コントロールの改善がなぜ大血管障害の予防に寄与しないかについては明らかでなかったが,本研究ではHbA1cの変動が死亡の予測因子であることを示している。このような解析を過去の研究成績についても適用することにより,これまでの疑問の一部が解かれる可能性がある。【景山茂】

●目的 2型糖尿病患者において,HbA1c変動性の様々な指標が平均HbA1cに比べて全死亡の独立した予測因子であるか否かを検討した。
●デザイン コホート,多施設(イタリア9施設)。
●試験期間 登録期間は2006~2008年。追跡期間は7.35±2.08年。
●対象患者 登録前2年間のHbA1c値が3~5点得られ,2015年10月31日の生存状況が評価できた2型糖尿病患者8,252例。
●方法 各患者の平均HbA1c(HbA1c-MEAN),HbA1c標準偏差(HbA1c-SD),HbA1c評価数を調整したHbA1c-SD(HbA1c-AdjSD),HbA1c-MEANに対するHbA1c-SD比で算出したHbA1c変動係数(HbA1c-CV)を後向きに算出した。
●結果 HbA1c変動性指標(HbA1c-SD,HbA1c-AdjSD,HbA1c-CV)はHbA1c-MEANの四分位に従って上昇し,HbA1c-MEANはHbA1c変動性指標の四分位に従って上昇した。
HbA1c-MEANとHbA1c変動性指標は全死亡と関連したが,関連の強度はHbA1c-MEANのほうが低く,交絡因子といずれかのHbA1c変動性指標を調整後は関連が消失した。
死亡率は,HbA1c-MEAN,HbA1c-SD,HbA1c-CV,HbA1c-AdjSDの四分位に従って上昇したが,交絡因子または各指標を調整後はHbA1c変動性指標のみが関連を維持した。
年齢,性別,喫煙習慣,糖尿病罹病期間,血糖降下薬治療,トリグリセリド,HDLコレステロール,脂質異常症,高血圧,糖尿病腎症の表現型,糖尿病網膜症のグレード,主要急性心血管疾患イベント既往,がんを調整後の死亡リスクは,HbA1c-MEANの高低にかかわらず,HbA1c-SDが中央値未満の場合に低く,HbA1c-SDが中央値を超えた場合に高かった。
●結論 2型糖尿病患者において,HbA1c変動性は強力で独立した全死亡の予測因子であった。