編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Bohula EA, Scirica BM, Inzucchi SE, McGuire DK, Keech AC, Smith SR, Kanevsky E, Murphy SA, Leiter LA, Dwyer JP, Corbalan R, Hamm C, Kaplan L, Nicolau JC, Ophuis TO, Ray KK, Ruda M, Spinar J, Patel T, Miao W, Perdomo C, Francis B, Dhadda S, Bonaca MP, Ruff CT, Sabatine MS, Wiviott SD; CAMELLIA-TIMI 61 Steering Committee Investigators. Effect of lorcaserin on prevention and remission of type 2 diabetes in overweight and obese patients (CAMELLIA-TIMI 61): a randomised, placebo-controlled trial. Lancet. 2018; 392: 2269-79. [PubMed]

選択的セロトニン2C受容体作動薬であるlorcaserinは,米国において,食事・運動療法にても改善が見られない肥満患者への投薬が認められている。今回の研究は,平均BMI 36, 体重 105kgの著しい肥満2型糖尿病患者やIGT例を対象としている。lorcaserin投与後1年での体重減少はわずか2.8kgに過ぎないことも,重視すべきであろう。【河盛隆造

●目的 動脈硬化性血管疾患リスクの高い過体重または肥満患者において,lorcaserinの代謝的有効性と安全性を検討した。
主要評価項目は,前糖尿病患者における2型糖尿病の発症。副次評価項目は,非糖尿病患者における2型糖尿病の発症,前糖尿病患者における正常血糖の達成,糖尿病患者におけるHbA1cの変化。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照,多施設(8ヵ国,473施設),intention-to-treat解析。
●試験期間 登録期間は2014年2月7日~2015年11月20日。追跡期間は中央値3.3年。
●対象患者 肥満または過体重患者(BMI≧27kg/m2)12,000例。
登録基準:既知の動脈硬化性心血管疾患(≧40歳かつ,冠動脈・脳血管・末梢動脈疾患の既往を有する者),または複数の心血管リスク因子(≧50歳[男性]または≧55歳[女性]の糖尿病患者かつ,脂質異常症・高血圧・推算糸球体濾過量 30~60mL/分/1.73m2・高感度C反応性タンパク質>3mg/L・微量アルブミン尿/顕性アルブミン尿を有する者)。
除外基準:中程度~重度の肺高血圧症・心不全・肝機能障害,重度の血管疾患・腎機能障害,予定肥満手術,薬理学的減量療法。
●方法 対象患者をlorcaserin(10mg 1日2回)群(6,000例),プラセボ群(6,000例)にランダム化。
全例に生活習慣修正に基づく標準化された体重管理プログラムを実施した。
●結果 ベースライン時の糖尿病患者は6,816例(56.8%),前糖尿病患者は3,991例(33.3%),正常血糖例は1,193例(9.9%)であった。
1年後の体重減少度はlocarserin群でプラセボ群より有意に大きく,群間差は糖尿病患者で2.6kg(95%CI 2.3 to 2.9),前糖尿病患者で2.8kg(2.5 to 3.2),正常血糖患者で3.3kg(2.6 to 4.0)であった(すべてp<0.0001)。
locarserin群はプラセボ群より糖尿病発症リスクを低下させ,前糖尿病患者では19%低下させ(8.5 vs. 10.3%;ハザード比0.81,95%CI 0.66 to 0.99,p=0.038),非糖尿病患者では23%低下させた(6.7 vs. 8.4%;ハザード比0.77,95%CI 0.63 to 0.94,p=0.012)。
前糖尿病患者における正常血糖達成率は,lorcaserin群で非有意に高かった(9.2 vs. 7.6%;ハザード比1.20,95%CI 0.97 to 1.49,p=0.093)。
糖尿病患者における1年後のHbA1cは,lorcaserin群でプラセボ群より0.33%低下した(95%CI 0.29 to 0.38,p<0.0001)。
重篤な合併症を伴う重度低血糖はまれであったが,lorcaserin群で多かった(0.4 vs. 0.1%,p=0.054)。
●結論 過体重または肥満患者において,lorcaserinは糖尿病発症リスクを低下させ,高血糖の寛解を誘導し,細小血管合併症リスクを低下させた。