編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Douros A, Dell'Aniello S, Yu OHY, Filion KB, Azoulay L, Suissa S. Sulfonylureas as second line drugs in type 2 diabetes and the risk of cardiovascular and hypoglycaemic events: population based cohort study. BMJ. 2018 Jul 18;362:k2693. [PubMed]

わが国のガイドラインでは特定の薬を第1選択薬としては位置付けていないが,metforminとDPP-4 inhibitorが広く使用されており,metforminにより十分な血糖コントロールが得られない場合には,低血糖リスクが少なく,肥満を来し難い薬物を上乗せすることが一般的である。SU類をsecond lineとして用いることは現在では少なくなってきている。
欧米(EASDとADA)の2018年のガイドラインでは,動脈硬化性心血管疾患や慢性腎臓病のある場合には,これらの予防効果が検証されているGLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬がmetforminに次ぐsecond lineの薬として位置付けられている。SU類がsecond lineとして位置付けられているのは動脈硬化性心血管疾患と慢性腎臓病がなく,医療費が問題となる場合のみになっている。
SU類のtolbutamideの治療はプラセボやインスリンに比較して死亡率,とりわけ心血管死亡が増加することが1970年のUGDP研究により報告された。この懸念は1998年に報告されたUKPDS 33により払拭され,また,UKPDS 34によりmetforminの有用性が報告された。本研究の登録期間は1998年から2013年で,UKPDS 33とUKPDS 34が報告された年に開始された。その後多くのエビデンスが報告されたので,現在とは時代背景が異なる状況での診療実態を反映した研究といえよう。【景山茂】

●目的 2型糖尿病患者において,metformin後のスルホニル尿素(SU)薬使用により,metformin継続に比べて心血管イベントおよび重度低血糖のリスクが上昇するか否かを検討した。
評価項目は,心筋梗塞(MI)による入院,虚血性脳卒中(IS)による入院,心血管死,全死亡,重症低血糖。
●デザイン 一般住民ベースコホート。
●試験期間 登録期間は1998年4月1日~2013年3月31日。2014年3月31日追跡終了。追跡期間は平均1.1±1.4年(244150人-年)。
●対象患者 metformin単独療法を新規開始した2型糖尿病患者77,138例。
除外基準:<40歳,英国臨床診療研究データリンク(CRPD)登録期間<1年,多嚢胞性卵巣症候群の女性,糖尿病治療薬の処方歴。
●方法 英国の大規模プライマリーケアのデータベースであるCRPDのデータを使用した。
SU薬を追加またはSU薬に変更した患者25,699例(SU薬群),および高次元傾向スコア・HbA1c・これまでのmetformin処方数をマッチングさせたmetformin継続患者25,699例(metformin群)を抽出。Cox回帰ハザードモデルにより,ハザード比および95%信頼区間を算出した。
●結果 SU薬群はmetformin群に比し,MI(発生率7.8 vs. 6.2件/1000人-年,ハザード比[HR]1.26,95%CI 1.01-1.56),全死亡(27.3 vs. 21.5件/1000人-年,HR 1.28,95%CI 1.15-1.44),重症低血糖(5.5 vs. 0.7件/1000人-年,HR 7.60,95%CI 4.64-12.44)のリスクが高く,IS(6.7 vs. 5.5件/1000人-年,HR 1.24,95%CI 0.99-1.56),心血管死(9.4 vs. 8.1件/1000人-年,HR 1.18,95%CI 0.98-1.43)のリスクが高い傾向を認めた。
SU薬群のうち,SU薬への変更例はSU薬追加例に比し,MI(HR 1.51,95%CI 1.03-2.24),全死亡(HR 1.23,95%CI 1.00-1.50)のリスクが高かったが,IS(HR 0.88,95%CI 0.58-1.33),心血管死(HR 1.22,95%CI 0.87-1.71),重症低血糖(HR 1.06,95%CI 0.65-1.71)のリスクには差異を認めなかった。
●結論 metformin単独療法を開始した2型糖尿病患者において,2次治療としてのSU薬はmetoformin継続に比べてMI,全死亡,重症低血糖のリスクを上昇させた。