編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Perkovic V, de Zeeuw D, Mahaffey KW, Fulcher G, Erondu N, Shaw W, Barrett TD, Weidner-Wells M, Deng H, Matthews DR, Neal B. Canagliflozin and renal outcomes in type 2 diabetes: results from the CANVAS Program randomised clinical trials. Lancet Diabetes Endocrinol. 2018 ;6: 691-704. [PubMed]

SGLT2阻害薬が心血管イベントを減少させるだけでなく,腎保護作用があることが,empagliflozinを用いたEMPA-REG Outcome試験 や,canagliflozinを用いたCANVAS Programで報告され,大きな注目を集めている。CANVAS Programの腎複合アウトカムについてはすでに,アルブミン尿の進展が27%抑制され,アルブミン尿の退縮が70%高まり,eGFRの40%以上の低下+末期腎不全+腎死からなる腎複合エンドポイントが40%減少したと報告されている。今回の報告は,腎複合アウトカムとしてeGFRの40%以上の低下ではなく,従来の多くの試験で用いられてきたeGFRの57%以上の低下にあたる血清クレアチニン濃度の2倍化+末期腎不全+腎死を用いて再解析したものである。今回の解析でも,腎複合アウトカムのハザード比が0.53と低下し,年間eGFR低下度が年間に1.2mL/分/1.73m2小さくなり,平均UACRが18%低下した。
ただ,今回CANVAS Programの対象は心疾患についてはハイリスクではあるが,腎機能については,eGFR<60 ml/min/1.73m2の者が約1/5 (この集団での微量アルブミン尿の者の割合は44%),eGFR>60 ml/min/1.73m2の者が約4 /5 (この集団での微量アルブミン尿の者の割合は27%)と比較的良好な集団での試験であることに注意する必要がある。実際,全体での腎複合アウトカムのうち,血清クレアチニンの2倍化が60とほとんどであり,末期腎不全が18,腎死が3であった。
最近,eGFR<60 ml/min/1.73m2で顕性アルブミン尿を示す2型糖尿病患者でのcanagliflozinの有効性を示すCREDENCE試験が早期に中止され,positiveな結果が報告されると伝えられている。今後のSGLT2阻害薬の糖尿病腎症の治療薬としての可能性に期待したい。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病患者において,腎アウトカムに対するcanagliflozinの長期効果を検討した。
評価項目は,持続性の血清クレアチニン値2倍上昇+末期腎疾患+腎死,推算糸球体濾過量(eGFR)の年間低下,尿中アルブミン-クレアチニン比(UACR)の変化。
●デザイン 無作為化比較試験の探索的解析。多施設(30ヵ国,667施設)。
●試験期間 登録期間は,2009年11月17日~2011年3月7日(CANVAS),および2014年1月17日~2015年5月29日(CANVAS-R)。追跡期間はそれぞれ平均188週,平均108週。
●対象患者 CANVAS,CANVAS-Rに参加した2型糖尿病患者10,142例。
登録基準:HbA1c 7.0~10.5%,≧30歳で症候性動脈硬化性血管疾患の既往を有する者,≧50歳でUACR上昇を含む2つ以上の心血管リスク因子を有する者。
除外基準:eGFR<30mL/分/1.73m2
●方法 CANVASでは,canagliflozin 300mg群,100mg群,プラセボ群にランダム化し,1日1回投与。CANVAS-Rでは,canagliflozin群(100mg/日から開始し,13週以降に300mg/日に漸増),プラセボ群にランダム化。
●結果 canagliflozinはプラセボに比し,血清クレアチニン値2倍上昇+末期腎疾患+腎死の発症率が低く(1.5 vs. 2.8件/1000人・年,ハザード比0.53[95%CI 0.33-0.84]),年間eGFR低下度が小さく(群間傾き差1.2mL/分/1.73m2/年[95%CI 1.0-1.4]),平均UACRが18%低下した(95%CI 16-20)。
重篤な腎関連有害事象の発生率は,canagliflozinとプラセボで同等であった(2.5 vs. 3.3件/1000人-年,ハザード比0.76[95%CI 0.49-1.19])。
●結論 2型糖尿病患者において,canagliflozinは持続性の腎機能低下リスクを低下させ,eGFR低下を軽減し,アルブミン尿を減少させたことから,腎保護作用を有する可能性が示された。