編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Feig DS, Corcoy R, Donovan LE, Murphy KE, Barrett JFR, Sanchez JJ, Wysocki T, Ruedy K, Kollman C, Tomlinson G, Murphy HR; CONCEPTT Collaborative Group. Pumps or Multiple Daily Injections in Pregnancy Involving Type 1 Diabetes: A Prespecified Analysis of the CONCEPTT Randomized Trial. Diabetes Care. 2018; 41: 2471-9. [PubMed]

1型糖尿病の妊婦を対象に,CGM装着下に,MDIと持続皮下インスリン療法(CSII,通称インスリンポンプ)のどちらが優れているか,さまざまな観点から比較した研究である。
その結果,HbA1cの低下度はMDIが優れており,妊娠高血圧,新生児低血糖もMDIで少なかった。以上より,妊婦へのCSII導入は推奨されないというのが,本論文のメッセージである。
しかし,実臨床では,妊娠中のコントロールがMDIでは困難で,CSIIにてコントロールが改善する症例も相当数存在する。したがって,個々人に応じてベストな医療を提供する個別化医療の時代に入りつつあることを踏まえて,本論文の結果を受け入れるべきである。【西村理明

●目的 1型糖尿病の妊婦を対象に,持続血糖モニター(CGM)使用下における,インスリンポンプとインスリン頻回注射(MDI)の血糖コントロール,QOL,妊娠アウトカムを比較した。
主要評価項目は,妊娠34週時のHbA1cの変化。副次評価項目は,CGM評価項目,母親と乳児の健康状態,患者報告によるアウトカム。
●デザイン 多施設共同(カナダ,英国,スコットランド,スペイン,イタリア,アイルランド,米国の31施設)無作為化比較試験の二次解析。
●試験期間 -
●対象患者 CONCEPTT試験でCGM群に割り付けられた1型糖尿病の妊婦248例。
登録基準:18~40歳,糖尿病罹病期間>12ヵ月,インスリンポンプまたはMDIを用いた強化インスリン療法を受けている者,HbA1c 7.0~10%(計画妊娠例)または6.5~10%(妊娠14週以前に超音波で確認された生存単胎妊娠例)。
●方法 CONCEPTT試験では,対象患者をCGM群,対照群にランダム化し,全例で自己血糖測定(SMBG)を施行した。
本解析では,CGM群のインスリンポンプ使用例(125例)とMDI使用例(123例)のアウトカムを比較した。
●結果 インスリンポンプ使用例はMDI使用例に比し,ベースライン時に結婚しているか安定した人間関係を有する割合が有意に高く(94.4 vs. 81.3%),妊娠前にマルチビタミンを摂取している割合が有意に高く(39.2 vs. 25.2%),喫煙率が有意に低いが(9.6 vs. 21.1%),妊娠初期のHbA1c(6.84±0.71 vs. 6.95±0.58%),CGM目標範囲内(63~140mg/dL)を推移する時間の割合(51±14 vs. 50±13%)は同等であった。
妊娠34週時のHbA1c低下度は,MDI使用例のほうがインスリンポンプ使用例よりも大きかった(-0.55±0.59 vs. -0.32±0.65%,p=0.001)。
妊娠24週時と34週時の目標HbA1c(<6.5%)達成率は,MDI使用例のほうがインスリンポンプ使用例よりも有意に高かった(24週時:72.1 vs. 63.1%[p=0.009],34週時:65.1 vs. 52.0%[p=0.001])。
MDI使用例はインスリンポンプ使用例に比べ,主に妊娠高血圧の増加(14.4 vs. 2.2%,p=0.025)を原因とした高血圧が少なく(p=0.011),また新生児低血糖(31.8 vs. 19.1%,p=0.05),24時間を超える新生児集中治療室への入院(44.5 vs. 29.6%,p=0.02)が少なかった。
インスリンポンプ使用例では低血糖関連不安の低下度が有意に大きかったが,健康/幸福感の低下度も有意に大きかった。
●結論 1型糖尿病の妊婦にインスリンポンプ療法は適さない可能性が示唆された。