編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Rosenstock J, Perkovic V, Johansen OE, Cooper ME, Kahn SE, Marx N, Alexander JH, Pencina M, Toto RD, Wanner C, Zinman B, Woerle HJ, Baanstra D, Pfarr E, Schnaidt S, Meinicke T, George JT, von Eynatten M, McGuire DK; CARMELINA Investigators. Effect of Linagliptin vs Placebo on Major Cardiovascular Events in Adults With Type 2 Diabetes and High Cardiovascular and Renal Risk: The CARMELINA Randomized Clinical Trial. JAMA. 2019; 321: 69-79. [PubMed]

本報告にあるCARMELINA(the Cardiovascular and Renal Microvascular Outcome Study With Linaglipin)は,心血管(CV)および腎リスクの高い2型糖尿病患者において行われた,linagliptinのCVおよび腎アウトカム試験である。虚血性心疾患の既往歴が約58%に,心不全の既往歴が約27%に,高血圧が約91%に,微量アルブミン尿が約42%に,顕性アルブミン尿が約38%に,45≦eGFR<60 mL/分/1.73m2が約20%に,30≦eGFR≦45 mL/分/1.73m2が約28%に,eGFR<30mL/分/1.73m2が約15%に認められる患者群を対象とし,通常治療へlinagliptinまたはプラセボを追加投与して,2.2年間追跡した。3P-MACEは両群で差がなく,プラセボに対するlinagliptinの非劣性が証明された。他のDPP-4阻害薬で行われたCVアウトカム試験であるSAVOR-TIMI 53EXAMINETECOS同様 ,通常治療へのDPP-4阻害薬の追加投与はプラセボ追加投与に比べて,3P-MACEを減少させはしなかったが,少なくとも増加をさせなかった。特に今回のCARMELINA試験には,腎機能低下を有する2型糖尿病患者がかなり含まれているが,このような患者群でも低血糖の頻度は増加せず,胆汁排泄経路を有するlinagliptinの安全性が再確認できたといえる。ただ,腎複合エンドポイントではlinagliptinの腎保護作用が必ずしもはっきり示せなかった点は残念であった。【片山茂裕

●目的 心血管(CV)および腎リスクの高い2型糖尿病患者において,linagliptinのCVおよび腎アウトカムを検討した。
主要評価項目は,CV死+非致死的心筋梗塞+非致死的脳卒中。副次評価項目は,末期腎疾患(ESRD)+腎不全死+推算糸球体濾過量(eGFR)の低下≧40%。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照,多施設(27ヵ国,605施設)。
●試験期間 登録期間は2013年8月~2016年8月。2018年1月18日追跡終了。追跡期間は中央値2.2年。
●対象患者 CVリスクと腎リスクの高いHbA1c 6.5~10.0%の2型糖尿病患者6,979例。
登録基準:CV高リスク(冠動脈疾患・脳卒中・末梢動脈疾患の既往と尿中アルブミン-クレアチニン比(UACR)>30mg/g),腎高リスク(eGFR 45~75mL/分/1.73m2+UACR>200mg/gまたはUACRにかかわらずeGFR 15~45mL/分/1.73m2)。
除外基準:ESRD(eGFR<15mL/分/1.73m2,維持透析)。
●方法 linagliptin 5mg群(3,494例),プラセボ群(3,485例)に1:1にランダム化し,通常治療に追加して1日1回投与。
プラセボに対するlinaglitideの非劣性基準は,ハザード比(HR)の両側95%CIの上限<1.3とした。
●結果 試験を完遂したのは98.7%であった。
主要評価項目の発生率は,linagliptin群12.4%(発生率5.77件/100人・年),プラセボ群12.1%(発生率5.63件/100人・年)で,絶対発生率差は0.13件/100人・年であった(HR 1.02,95%CI 0.89-1.17,非劣性p<0.001)。
副次評価項目の発生率は,linagliptin群9.4%(発生率4.89件/100人・年),プラセボ群8.8%(発生率4.66件/100人・年)で,絶対発生率差は0.22件/100人・年であった(HR 1.04,95%CI 0.89-1.22,p=0.62)。
linagliptin群とプラセボ群で,有害事象の発生率はそれぞれ77.2%,78.1%,低血糖エピソードを認めた患者の割合は29.7%,29.4%,急性膵炎イベントの発生率は0.3%,0.1%であった。
●結論 CVリスクと腎リスクの高い2型糖尿病患者において,通常治療へのlinagliptin追加はプラセボ追加に対し,複合CVアウトカムについて非劣性であった。