編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Laiteerapong N, Ham SA, Gao Y, Moffet HH, Liu JY, Huang ES, Karter AJ. The Legacy Effect in Type 2 Diabetes: Impact of Early Glycemic Control on Future Complications (The Diabetes & Aging Study). Diabetes Care. 2019; 42: 416-6. [PubMed]

2型糖尿病の治療においては,内因性インスリン分泌を有効利用することが必須である。長期にわたって内因性インスリン分泌を保持するためには,軽度であれ食後高血糖を放置すべきでないことが,分子レベルでの多くの研究において証明されてきている。
本研究は,最前線の医師が経験的によく知っていることを,長年の観察により証明したことになろう。本邦のように,健診がきちんとなされ,糖尿病発症直後に診断されている国は他にない。診断された患者に,正しい糖尿病治療のありかた,対処法を教育し,決して“糖尿病放置病”にならないようにする,さらに緻密に治療強化に努める。すなわち「臨床的な惰性(clinical inertia)」に陥らないようにすることが,広く普及することを期待したい。【河盛隆造

●目的 新たに2型糖尿病と診断された患者において,糖尿病合併症と死亡に対する早期の血糖コントロールの遺産効果を検討した。
●デザイン コホート。
●試験期間 診断後の追跡期間は平均13.0年。
●対象患者 1997~2003年に診断され,生存期間≧10年の2型糖尿病患者34,737例。診断時年齢は平均56.8歳。
除外基準:試験期間中の貧血,診断後3ヵ月までのHbA1cデータがない者,診断後2年までの2度目のHbA1cデータがない者,診断後3年以降の追跡期間の半分を超えた期間のHbA1cデータがない者。
●方法 Kaiser Permanente北カリフォルニア糖尿病登録のデータを使用。
7種類の期間別(0~1年,0~2年,0~3年,0~4年,0~5年,0~6年,0~7年)にHbA1cを分類し(<6.5%,6.5~<7.0%,7.0~<8.0%,8.0~<9.0%,≧9.0%),将来の進行細小血管障害(末期腎疾患,糖尿病眼症,下肢切断)および大血管障害(脳卒中,心疾患,心不全,血管疾患)の発症および死亡との関連を評価した(診断時年齢,性別,人種/民族,診断年,心血管リスク因子,上記期間以降のHbA1c,併発疾患を調整)。
●結果 0~1年目のHbA1c<6.5%に比し,HbA1c≧6.5%では細小血管障害および大血管障害のリスクが上昇し(例:HbA1c 6.5~<7.0%の細小血管障害のハザード比[HR]:1.204[95%CI 1.063 to 1.365]),≧7.0%では死亡リスクが上昇した(例:HbA1c ≧7.0~<8.0%のHR:1.290[1.104 to 1.507])。
HbA1c≧8.0%の期間が長くなると,細小血管障害および死亡リスクが上昇した。
●結論 新たに2型糖尿病と診断された患者において,診断後1年目のHbA1c≧6.5%はアウトカム不良と関連したことから,糖尿病合併症と死亡の長期リスクを回避するためには速やかに強化治療を行う必要があることが示唆された。