編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Li G, Prior JC, Leslie WD, Thabane L, Papaioannou A, Josse RG, Kaiser SM, Kovacs CS, Anastassiades T, Towheed T, Davison KS, Levine M, Goltzman, Adachi JD; CaMos Research Group. Frailty and Risk of Fractures in Patients With Type 2 Diabetes. Diabetes Care. 2019; 42: 507-13. [PubMed]

2型糖尿病自体が骨折のリスク因子であることはよく知られている。例えば2型糖尿病患者における股関節の骨折リスクは,非糖尿病患者に比べると70%も高いと報告されている。しかしながら,2型糖尿病患者における骨密度(BMD)は減少しておらず,正常かむしろ高値である。このような現象は「糖尿病の骨パラドックス」ともよばれている。
今回の検討は,カナダ人で前向きに行われたthe Canadian Multicentre Osteoporosis Study(CaMos)の一環として行われた。2型糖尿病患者は非糖尿病例に比し,BMDが高く,フレイルの程度も有意に高かった。フレイルは脆弱性骨折リスクを上昇させ,脆弱性骨折に対する糖尿病の影響を増大させた。この意味では,今回の検討でも,「糖尿病の骨パラドックス」が確認されており,フレイルとの関連を調べた初めての調査である。今後,血糖コントロールの影響や,骨強度などの骨の質なども検討して行く必要があるだろう。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病患者において,フレイルと骨折発症リスクの関連を検討した。
主要評価項目は,初回の非外傷性の臨床的脆弱性骨折が発生するまでの期間。副次評価項目は,股関節骨折発生までの期間,臨床的脊椎骨折発生までの期間。
●デザイン 前向き,コホート,多施設(カナダ9施設)。
●試験期間 登録期間は1995~1997年。追跡期間は9.2年。
●対象患者 ≧25歳の非施設入居者(女性69.9%,平均65.1歳)3,149例。うち糖尿病患者138例(女性60.1%,平均69.4歳)。
●方法 健康関連障害の累積数によりフレイル指数(FI)を算出。
フレイルと糖尿病の相互作用を組み込んだCoxモデル解析を実施した。
●結果 糖尿病例は非糖尿病例に比し,腰椎と大腿骨頸部の骨密度(BMD)のTスコアが高く(p<0.001),FIが高値であった(0.22 vs. 0.16,p<0.001)。
追跡期間中に611例(19.4%)で脆弱性骨折が発生した。
FIと脆弱性骨折の発生リスクには有意な関連が認められ,FIの0.01上昇に伴うハザード比(HR)は1.02(95%CI 1.01-1.03),FIの0.10上昇に伴うHRは1.19(95%CI 1.10-1.33)であった。FIと脆弱性骨折の相互作用も有意であった(p=0.018)。
FIと相互作用項を統合した場合,FIの0.10上昇に伴うHRは,糖尿病例1.33,非糖尿病例1.19であった。
股関節骨折および臨床的脊椎骨折については,フレイルと糖尿病の相互作用を認めなかった。
●結論 2型糖尿病患者は非糖尿病例に比し,フレイルの程度が有意に高かった。フレイルは脆弱性骨折リスクを増大させ,脆弱性骨折に対する糖尿病の影響を増大させた。